世界的に問題となっているプラスチックごみ。近年、環境保護のためにプラスチック製品の削減へのさまざまな取り組みが行われています。日本でも「脱プラ」の動きが高まっている中、心配になるのがプラスチック製品を扱う会社のこと。プラスチックごみ削減やプラスチックの再利用を目的とした新法も施行されるなど、製品の受注が減って逆風が吹いている状態が予想されます。しかし、そのような状況で新たな事業展開をしている会社もあるのです。今回は、プラスチック製造会社が始めた新たな取り組みについてご紹介しましょう。
プラスチックごみが問題視されるようになり、各企業でもプラスチック削減に向けた取り組みが開始されました。ファストフード店や大手コーヒーチェーンでは、プラスチック製のストローは紙製に・カトラリーを木製に、というように、脱プラスチックに向けて改善を続けています。
また、2022年4月1日からは「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(略してプラスチック資源循環促進法)」が施行されました。法律の施行にともない、小売り・サービス業の事業者に対して、カトラリー・ストロー・ヘアブラシ・歯ブラシなど「特定プラスチック使用製品」の使用の合理化と、廃棄の削減が求められています。具体的には、これまで無料で提供していたものを有料化したり、必要分のみ提供したりといったことです。
世の中の脱プラの動きが加速すると、当然プラスチック製品の受注は減少します。これまで多くのプラスチック製品を製造していた会社は、業績悪化を余儀なくされるでしょう。このような状況の中、プラスチック製品製造一筋だった岐阜県美濃市の古田化成が、新規事業に乗り出しました。
新事業として製造を始めたのは、製品の55%にセルロースファイバーを使用したカトラリー「Nogakel(ノガケル)」。セルロースファイバーは紙由来の繊維で、プラスチックの原料であるポリプロピレンと混ぜ合わせて作られています。繊維が混ざることで、プラスチックのみで製造するよりも強度が増し、丈夫なカトラリーに。
製品にセルロースファイバーを50%以上混ぜることで「紙製品」として扱われるため、可燃ごみとして処分可能です。また、プラスチックの使用量を半減させることができ、環境へ配慮した商品になっています。
「Nogakel」というネーミングの由来は、日本古来より行われている、春や秋の気候の良い時期に弁当を持って出かける「野掛け」にあります。ピクニックのとき、お気に入りのカトラリーを持って行くと楽しさも倍増するのではないでしょうか。Nogakelは、そのような時間を共にするテーブルウェアです。
美濃市にある「岐阜県商品開発研究所」が商品プロデュースとパッケージデザインに協力しています。6色展開で、「山桜(ピンク)」「猫柳(グレー)」など和風の名前がつけられています。材質はセルロースファイバーとポリプロピレンで、抗菌仕様。耐熱温度は110℃で、紙製品でありながら食器洗浄乾燥機の使用ができるのは驚きです。
現在はスプーンとフォークのみの取り扱いですが、今後はプレートやコップ、箸といったピクニックに使える商品展開も考えているとか。「MADE IN MINO GIFU」と刻印された環境に配慮したカトラリー、気になる方はNogakelのウェブサイトよりお問い合わせしてみてください。
今回は、脱プラの動きから新たな事業に乗り出したプラスチック製造会社の商品をご紹介しました。プラスチックの良さを活かしながら脱プラをすすめられるのは、長年プラスチック製造に携わってきたからこその強みではないでしょうか。これからの展開も目が離せないですね。
記事を作成・監修したマイスター
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