お米は、食卓に並ぶご飯やお菓子の原料・飼料として日本人にとって、とても馴染み深いものです。実は、お米は食べるだけでなく、再生可能なプラスチックの「ライスレジン」としてさまざまな製品に生まれ変わっているのをご存知ですか?ライスレジンは100%国産のお米を使用しており、環境にやさしいバイオマスプラスチックとして近年注目されています。今回は、そんなライスレジンの魅力を詳しく解説。最後に紹介するライスレジン製品にも、ぜひ注目してくださいね。
ライスレジンは、食用や飼料に適さない古米や、米菓を作るときに出る破砕米を利用して作られる再生可能なプラスチックのこと。最大70%までお米を混ぜることが可能で、石油系プラスチックの使用量を下げられる環境にやさしい素材です。
自治体指定ゴミ袋やレジ袋、クリアファイルやカトラリーなど、さまざまな製品が販売されています。
・どんな特徴があるの?
1.100%国産で供給量が安定している
再生可能なプラスチックの原料として、これまでに世界ではトウモロコシやサトウキビが注目されていました。しかし、近年ガソリンの代替品として世界各国で需要が高まったことにより、日本への輸入量は減るばかり。
一方でライスレジンは、日本の米どころである新潟県魚沼市にある「株式会社バイオマスレジン南魚沼」が開発した素材。100%国産のお米を使っているため、海外情勢や石油相場の影響を受けることなく安定した供給が可能なのです。
また、口に入れても安心な素材のため、カトラリーや赤ちゃんのおもちゃの原料としても大活躍しています。
2.品質が高い
ライスレジンは、廃棄されるお米を独自の技術でプラスチック化したものであり、お米と石油系のプラスチック樹脂を配合しています。お米を混ぜることで耐久性に不安を抱く方もいるかもしれませんが、使用感は石油系プラスチックと同等。
ライスレジンは、石油系プラスチックの使用量を下げつつ、これまでの使い心地を維持できる、画期的な素材なのです。
ライスレジンは環境にさまざまなメリットをもたらします。詳しく見ていきましょう。
・二酸化炭素の削減
一般的なレジ袋やポリ袋の原料である石油系プラスチックは、焼却時に多くの二酸化炭素を排出してしまう素材です。一方、ライスレジンの原料であるお米は、焼却時に何も排出しないうえに二酸化炭素を吸収する役割も。
ライスレジン30%配合のレジ袋は、焼却時の二酸化炭素を30%削減するため、ライスレジンを多く配合すればするほど、焼却時の二酸化炭素を削減できるということになります。
・耕作放棄した土地などを活用できる
日本には、使っていない休耕地や耕作放棄地がいたるところに存在します。ライスレジンを開発した株式会社バイオマスレジン南魚沼はこの土地に注目し、2020年に耕作を放棄した土地を活用。食用以外にも使える多収穫品種「新潟次郎米」の栽培を開始しました。
ライスレジンの原料米は味より生産性を重視。将来的には、AIを活用した無人農業を目指しているそうです。
環境や人にさまざまなメリットをもたらすライスレジン。意識的に使っていきたいですよね。最後に、ライスレジンでできたアイテムを2つご紹介します。
・レジ袋
ライスレジン配合のレジ袋は、導入しているお店が多いアイテム。一般的なレジ袋と違って、ザラザラとした手触りでお米を使用していることが感じられるのだとか。
2020年7月から全国のスーパーや小売店でのレジ袋が有料化されましたが、ライスレジンのように環境にやさしいバイオマス素材の配合率が25%以上の袋は無料!これから提供するお店が増えてほしいですね。
・赤ちゃんのおもちゃ
赤ちゃんのための「お米のおもちゃ」シリーズは、ピープル株式会社が開発したおもちゃです。赤ちゃんが遊ぶ積み木や、おもちゃのスプーン、歯固めなど、口に入れていても安心して遊ばせられるおもちゃを多く販売しています。
もちろん純国産!お米由来なうえに無塗装なので、出産祝いとしても喜ばれるおすすめのおもちゃです。
ライスレジンは、お米=食べるという発想が覆される魅力的な素材ということが分かりました。お米を食用ではなく、ひとつの「資源」と考えると可能性がグンと広がります。耕作放棄地の活用はこれからも拡大していく予定であり、農業や地域のさらなる活性化が期待できそうですね。
使うほどメリットのあるライスレジン製品。見かけたときは、ぜひ手に取ってみてくださいね!
記事を作成・監修したマイスター
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