あなたは「バーチャルウォーター(Virtual water)」をご存知でしょうか?バーチャルウォーターとは、「輸入食料を生産するためにどれだけの水が必要か」を算出したもので、水資源や食糧問題を語るうえで重要なテーマの1つ。実はこのバーチャルウォーター、知らず知らずのうちに、日本人の生活に深く関わっているんです…。
今回はバーチャルウォーターとはなにか、その問題点を解説!貴重な水資源を守るため、今日からできる行動を紹介します。
バーチャルウォーターとは、輸入食料を自国で生産した場合、必要となる水の量を算出したものです。ロンドン大学のアンソニー・アラン(Anthony Allan)教授が打ち出した理論で、日本語では直訳して「仮想水」とも呼ばれます。
例えば、トウモロコシを1kg育てるのに必要な水の量は約1,800L。さらに、牛はトウモロコシなどの穀物をたくさん食べて育つため、牛肉1kgを生産するのに必要な水の量は…なんと約2万倍!
普段何気なく食べている牛肉を育てるのに、それほど大量の水が使われていることに驚きますよね。
普段の食事や飲み物のバーチャルウォーターについて、以下にまとめました。
<バーチャルウォーターの例>
・日本茶…19L
・オレンジジュース…170L
・コーヒー…210L
・ハンバーガー…999L
・カレーライス…1,095L
・生姜焼定食…1,271L
・牛丼…1,889L
※食べ物・飲み物ともに1人前で算出
「外国から食料を輸入した場合、食料と一緒に栽培や飼育に必要な水も輸入している」というのが、バーチャルウォーターの概念です。
食料自給率が半分以下の日本は、多くの食料を輸入に頼っています。つまり私たち日本人は、知らず知らずのうちに、水資源を大量に消費してしまっているのです。
『水を大切に!』
そう聞いてまず浮かぶのは「水を出しっぱなしにしない」といった、日々の生活の中でできる節水ではないでしょうか?
実は、世界で使われている水のうち、生活用水はわずか10%ほど。大半の約70%を占めるのは、農業用水です(約20%は工業用水)。
水資源を守るためには、こまめに水道の蛇口を締めるのはもちろん大切ですが、バーチャルウォーターの削減も非常に重要なのです。
日本に食料を輸出する国は、水資源が恵まれた国ばかりではありません。なかには、雨の少ない国や地下から無理やり水をくみ上げている国、水質汚染が進んできれいな水の量が限られた国もあります。
もし、これらの国の水資源が枯渇してしまったら…日本の食料不足は免れないでしょう。
バーチャルウォーターは普段目に見えないため、減らすのが難しそうと感じるかもしれません。実は、以下2つを意識すれば、誰でも簡単にバーチャルウォーターを減らすことができます。
・地産地消を心がける
地元で採れた食材や国内生産の食材を選べば、バーチャルウォーターを削減できます。輸送にかかる環境コスト(CO2排出量など)も削減可能です。
スーパーなどで食材を選ぶ際は、価格だけでなく産地も意識してみましょう。
・食生活を見直す
前述のとおり、牛肉をはじめとする畜産業は、水を大量に使います。肉を食べる回数や量を減らし、ほかの食材に置き換えると、バーチャルウォーターの削減に繋がりますよ。
これら2つの取り組みは、誰でもすぐに始められます。ぜひあなたも今日から意識してみてください。
今回は、近年注目される環境テーマ「バーチャルウォーター」の問題点や、削減方法についてご紹介しました。限られた水資源を守るために、生活用水の無駄遣いをやめるのは、とても大切です。あわせてバーチャルウォーターを減らすよう意識すれば、さらに多くの水資源を守れます。
気づきにくい水の無駄遣いを減らして、未来の地球環境を守る第一歩を踏み出しましょう!
記事を作成・監修したマイスター
まるで専属栄養士?健康やダイエットをサポート!あすけんをレビュー
うどんや牛のふんが電気になる?脱炭素化に向けた日本と世界の電力発電