軽くて持ち運びしやすいペットボトル。便利な反面、その消費量は年々増え続けています。世界のペットボトルの消費量は1分間に100万本なんだとか!
ペットボトルの原料と衣類に使用されるポリエステルは実は同じ素材でできています。この仕組みを生かし、捨てられるペットボトルをリサイクルして作られたのが「再生ポリエステル」です。今回は、サステナブルな素材として注目される「再生ポリエステル」について紹介します。
ペットボトルはポリエステルから作られていて、ワイシャツなどの衣類の繊維と同じ素材になります。1997年に容器包装リサイクル法が施行され、ペットボトルが再商品化できる対象商品となりました。そのため、回収されたペットボトルを使った再生ポリエステル繊維の生産が可能に。
さらに近年問題になっている、ペットボトルをはじめとしたプラスチックごみを海に捨てることで起こる海洋汚染。再生ポリエステルの生産は、不要になったペットボトルをリサイクルできるだけでなく、海洋に捨てられたペットボトルを減らすことに貢献できる効果もあります。
また、一般的なポリエステルで作る生地は石油・天然ガスなどが原料です。一方、再生ポリエステルの生地は、ペットボトルをリサイクルすることで作られます。生地を生産する際に排出する石油の量を減らすことができ、環境に負担をかけずに生産することが可能になるのです。
サステナブル素材は、原料によって時に高くなってしまう場合もあります。その点、再生ポリエステルは原料がペットボトルということもあり、比較的安価といえるでしょう。
ペットボトルはどのようにして衣類に生まれ変わるのでしょうか。
ペットボトルは、石油から作られたポリエチレンテレフタートと呼ばれる樹脂からできています。樹脂を溶かし、膨らませたものがペットボトルになるという仕組みです。そして樹脂を溶かして糸状に伸ばしたものが繊維になります。この仕組みを生かして作られたのが再生ポリエステルです。
〈再生ポリエステルの製造工程〉
1.ペットボトルを回収
2.回収したペットボトルを細かく砕いて洗浄
3.再生ポリエステルチップを作る
4.チップを溶かし、糸にして衣類の完成
こうしてペットボトルから再生ポリエステルを使った衣類が出来上がります。
大手の企業でも再生ポリエステルが使われるようになっていて、ユニクロではフリース生地の30%に再生ポリエステルを使用した商品もあるんですよ。
再生ポリエステルのメリットはどんなものがあるのでしょうか。デメリットとともにまとめてみました。
●メリット
・形状記憶性が高い…シワになりにくく、型崩れをおこしにくい
・優れた速乾性…乾きやすく、さらっとした肌触りで着心地がよい
・熱に強い…高い耐熱性で、いろいろな形に加工しやすい
・軽く、耐久性に優れている…高い耐久性で軽量、繰り返しの洗濯にも強い
●デメリット
・静電気が発生しやすい…再生ポリエステルは合成繊維のため、静電気が発生しやすい傾向に
・毛玉ができやすい…摩擦に弱く、毛玉ができやすい傾向がある
再生ポリエステルのメリットやデメリットを生かし、現在はさまざまな衣類が作られています。耐久性に優れた扱いやすい素材なので、エコバックの生地やスポーツウェアとしても活用されています。
サステナブルな素材としても注目されている再生ポリエステル。使い終わったペットボトルをリサイクルできるだけなく、環境への負荷を減らすこともできるエコな素材です。また、機能性にも優れていて幅広い製品に対応可能な点も魅力の1つだといえるでしょう。
記事を作成・監修したマイスター
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