永遠の輝きを放ち、株式や通貨と同じく市場で価値があると位置付けられている金は、ふるくから世界中で愛されてきました。金の価値は高く、投資対象としても人気が高いため、金の購入を考えている方は多いでしょう。しかし、金の価値が変動する仕組みを知らなければ、安心した取引は行えません。
そこで今回は、金の価値が高い理由を5つご紹介します。正しい金の価値を理解すれば買取店への売買や投資へのリスク対策になります。純度による金の分類方法や人気の投資法も併せて見ていきましょう。
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「金は高い」という共通概念は多くの人が持っているでしょう。しかし、なぜ金の値段が高額なのか具体的な理由をご存知でしょうか。
まずは、ジュエリーや資産などさまざまな分野で活用される金が、なぜ世界中から求められるのか、なぜ値段が高騰するのか、ご紹介します。
金には美しい輝きの見た目と採掘総量の少なさから、高い希少性があります。
これまで地球上で発掘された金の総量は約18.3万トンで、これはオリンピック公式プール約3.8杯分しかないほど少量です。
現在、地球に埋蔵されている残りの金は、約5.3万トンしかありません。さらに、大部分は採掘が困難な場所にあるため、枯渇する日も近い貴重な資源といえます。
このように、金は地球上にわずかしか存在しない貴金属として希少性があるのです。
金には古くからの歴史があり、紀元前6000年頃より装飾品として価値を認められている物質です。人類が長期にわたり取引してきた金には、これまでの歴史の分だけ信用力が積み重なっているため、為替相場も上昇します。
古代エジプトにおいても金は貴重で、ツタンカーメンの黄金マスクには、文字通り金が使われています。当時は、権力や永遠の命を象徴するものとして扱われていました。
このように金は、歴史的にも貴重で手に入りにくい価値の高い貴金属としても実績があります。
金は見た目を重視した装飾用で使われるほかに、錆びにくい貴金属として金貨、電子機器、精密機械にも使われる、装飾品として以外のさまざまな活用先があります。特に加工のしやすさと耐久性の高さから、日常で使う多くの製品に欠かせない金属です。
地中の埋蔵量は枯渇しつつありますが、「都市鉱山」と呼ばれる電子部品に使われている金が注目されるほどです。東京オリンピックでは、携帯電話の中に使われている金を使ったメダルを制作するプロジェクトが始動しています。
総量が小さいにも関わらず、用途が多岐にわたるため、金の値段は上昇しています。
流動性とは、必要になったときにすぐに手元に引き出せる状態のことです。株式や債券などの投資商品は、国や企業が破綻した場合に価値はなくなってしまいます。一方で自分の資産を金に変換しておけば、世界中で現金にでも株式・不動産にでも変えることができます。金の価値は世界中で通用することは、金の流動性の高さを表しています。
金を手元に残しておけば価値が破綻することはないため、他の投資商品と違い価値がゼロになることはありません。この高い流動性も金の価値を高めています。
金には金の含有量によって、価値や用途が異なります。日本では、金の純度を24分率で表します。
24分率 | 金と混合物の含有量 | 特徴 |
24金 | 純金99.99%~ | 純度99.99%以上の純金を表します。純金は柔らかいため、インゴットや金貨などの資産価値を目的に使用されます。 |
22金 | 純金91.6~91.7% 混合物8.3% | 傷は付きやすいですが、ジュエリーに向いています。24金に近いゴールドカラーと輝きを持っていて、金元来の美しさが人気の純度です。 |
18金 | 純金75%・混合物25% | 純度の高さと加工のしやすさからジュエリーに最も適しています。ピンクやホワイトなどカラーバリエーションも豊富です。 |
14金 | 純金58.5%・混合物41.5% | 耐久力は増しますが、輝きが目に見えて下がって見えます。純度の低さから比較的値段が安い点がメリットです。 |
10金 | 純金42%・混合物58% | 金の含率が混合物を上回るため、輝きも弱く錆びやすい欠点があります。広く市場に出回っていて安価で手に入りやすいところがメリットです。 |
24金が最も純金に近く、金の価値としても高くなります。ただし、純金単体では強度が低い性質もあるため、すべての用途に向いているわけではありません。それぞれの純度によって特徴や用途も変わってくるため、使うシーンに合わせた選択が必要です。
金の取引において、「金の価値は上がり続けている」と耳にした方も多いでしょう。確かに金の価値は他の貴金属であるプラチナや仮想通貨と比較して安定はしています。しかし、全く価値が下がらないわけではありません。それは、世界中で取引される金の価値が、情勢によって買取価格に変動が起こることが理由です。
このような金には現物資産と金融資産の2つの性質があります。現実資産とは、それ自体に形があって価値がある資産です。一方で金融資産とは、株式や現金のような無形の価値を持つものを指しているため、金は両方の性質を持ちます。
投資の対象としては金融資産が一般的であるため、国や企業の状況によって1日で価値がゼロになる経済的リスクがあります。一方で、現物資産でもある金は価値が即時ゼロになる可能性は低く、安定した投資先として高い需要があります。
金地金とは、金をインゴット形式で直接取引する金の投資方法です。金のイメージとして定着している金の延べ棒や金の板が、この投資方法である金地金に使用されます。
金地金を選ぶメリットは、5年以上の長期保有で税金が減額される点です。通常の金地金の売却益は課税対象で、金の現物取引は総合課税方式となり、累進課税です。しかし、5年以上金地金を保有した場合は、譲渡益を2分の1に減額することが認められています。金次金は長期の目線で投資をしておくと、税金面でのメリットが期待できます。
(出典元:国税庁「No.3161 金地金を売ったときの税金」)
デメリットとしては、貨幣とは違って管理コストがかかることです。自宅で保管する場合にも盗難防止のために厳重な金庫が必要となります。銀行の貸金庫を借りる方法もありますが、どちらもコストがかかるため注意が必要です。
純金積立は毎月一定額を積み立てて、その費用で金を購入する投資方法です。通常は金の購入に高額の資金が必要ですが、純金積立ならば個人でも少額で投資がスタートできます。
自動積立もできるため、投資のたびに購入手続きを取るような面倒な手間も少なく、盗難リスクもない初心者が特に始めやすい点がメリットです。金額は最低1,000円から始められるところもあります。
サービスによっては、積立投資された金を金地金として引き出せます。現物の金を手に入れて少額から投資を始めてみたいならば、純金積立をおすすめします。
ただし、手数料が高くなってしまうことがデメリットです。料率はサービスによりますが、2.0%~5.0%の範囲で設定されていて、金融資産の観点で手数料を考えてしまうと高く感じてしまいます。手数料が安くても、現物引き出しの制限があるサービスもあるため、制限の確認を行うことがおすすめです。
金先物取引は、指定の時期に金の取引を約束する投資方法です。取引は証拠金を預け入れて、証拠金にレバレッジを掛ける方法が取られます。
レバレッジにより証拠金以上の金額で取引しやすいことは、大きなメリットです。小さな買取相場の変動で利益を倍増できますが、一方でインフレなどで予想以上の損害を被るリスクがあります。長期で金を育てていく投資方法ではありませんが、ハイリスク・ハイリターンで行えるトレーディングのような取引です。
デメリットとしては、損切りのタイミングの難しさがあります。金の買取参考価格が動いたときに、タイミングを見極めないと大きな損です。目先の値動きに左右されない取引を行うように対策する必要があります。
金の価値が高い理由を、純度による分類方法や人気の投資法と共にご紹介しました。金はその希少性だけでなく、多方面からの需要が高いためその価値は高騰しています。
純金に近いほど金の価値は高まりますが、耐久性は小さくなるため、用途に合わせた活用が必要です。投資に関しても、現在の資産状況や投資目的によって適切な選択が異なるため、ご自身の都合にあった投資方法で金取引を行うことをおすすめします。
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