「純金のはずなのに変色してきた」「刻印が見えなくて、このアクセサリーの金の純度がわからない」こんなときは、比重を調べることでその金製品が本物かどうか、純度がどのくらいなのかわかります。金の価値を左右しているのは、重さと純度です。今回は、金やプラチナなどの比重や密度を調べる方法について解説していきます。自分で調べられると、査定に出す際にも参考になります。使っていないアクセサリーの価値を調べたい方や売却を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
INDEX
そもそも比重というのは、「ある物質の体積当たりの密度と、同じ体積の物質の密度との比」のことです。物質の状態は固体・液体・気体の3つがありますが、一般的に固体や液体物質の基準として使用されるのは水です。つまり、ある物質の密度と水の密度との比を「比重」といいます。
密度とは、一定の体積当たりの物質の重さのことです。「1立方センチメートル当たりの物質にはどのくらいの重さがあるのか」ということを意味します。物質には固有の密度があり、例えば純金の場合、密度は19.32g/立方センチメートルです。これは、純金でできている1cm角の立方体の重さが19.32gであることを示します。これに対し、水の密度はほぼ1.0g/立方センチメートルなので、1立方センチメートルの箱に入った水の重さは、ほぼ1.0gということになります。
比重とは「ある物質の密度と水の密度との比」つまり「ある物質は、水の質量の何倍か」ということを表すものです。そのため、純金の比重は19.32ということになります。ここからわかるように、密度と比重の値は同じになります。つまり、比重と密度は意味が異なりますが、数値は同じになるのです。
例えば金の場合、比重を知ることで手元にあるアクセサリーが純金であるかどうか、どのくらいの金が含まれているのかの判断基準になります。特に買取を希望する場合、売りたいものにどのくらいの金が含まれているかによって価値が大きく変動します。純金は柔らかい金属のため、爪などで簡単に傷ついてしまうことから、そのままではアクセサリーに適していません。アクセサリーにするには、硬度の高い金属を混ぜて金合金にします。このように金製品にはさまざまな物質が含まれていることが多いため、金の純度別の比重やほかの金属の比重を知っておくと、アクセサリーを売るときや購入時の参考になります。
金やプラチナは、高級なジュエリーに使用される貴金属類の代表的なものです。人気があり資産としても価値が高い金やプラチナの特徴や比重について紹介していきます。
山吹色に光輝く色が特徴の金は、古くから人々を惹きつけてきました。リングやネックレスなどのアクセサリーに使用されることが多く、年齢問わず身につけることでゴージャスな印象になります。またインフレの際にも価値が下がりにくいため、インゴットや貨幣の形で資産として保有する人もいます。金属の中で最も薄く引き伸ばせるため、金箔や金粉などに加工することも可能です。多彩なデザインを形成しやすいことが、アクセサリーに使用されやすい理由にもなっています。しかし、純度が高いほど柔らかく、容易に傷がついたり変形したりするのも特徴です。そのため、アクセサリーに使用するには、銀や銅などほかの金属を混ぜ、強度を上げています。配合した物質により、ホワイトゴールドやピンクゴールド、イエローゴールドなどの色味を持たせられるのも魅力といえるでしょう。
金の密度や比重は、純度により変動します。というのも、前述したように金は柔らかい金属なので、アクセサリーとして使用するためにはほかの金属類が混ぜられています。また、鉱山などで採掘された天然の金にも、10%程度は銀が含まれることが多く、精錬することで純度を高めていくのです。金の純度別の密度や比重を一覧にしたので確認してみてください。
金の純度 | 金の含有率 | 密度/比重(密度:g/立方センチメートル) |
---|---|---|
K24(24金) | 99.99~100% | 19.13~19.51 |
K22(22金) | 91.6~91.7% | 17.45~18.24 |
K20(20金) | 83.3% | 16.03~17.11 |
K18(18金) | 75.0% | 14.84~16.12 |
K14(14金) | 58.5% | 12.91~14.44 |
K10(10金) | 42% | 11.42~13.09 |
先に金の比重は19.32であると述べましたが、実際には純度が99.9%以上の純金(24K)でも比重は「19.13~19.51」とばらつきがあります。それは、別の金属が含まれている場合、その金属の種類や比率によって比重が変わってしまうためです。金の純度は密度や比重だけでは、正確には判断できないため、あくまでも参考程度にチェックしてみてください。
白金という和名を持つプラチナは、上品な銀白色をおび、重厚感があるのが特徴です。ほかの物質に反応しにくく、酸にも強くほとんど変色しないことから、婚約指輪など一生ものアクセサリーに用いられます。また金と同様、純度が高いほど柔らかいため、ほかの金属を混ぜて強度を上げて使用されています。
プラチナは希少性が高いのも特徴のひとつです。世界中の限られた場所でしか産出できず、1tの鉱石からわずか3gしか採れません。金も希少性が高いですが、その金の50分の1程度しか産出できないことから、希少価値がかなり高い金属だといえます。
プラチナは比重が高い金属です。純度99.9%以上のプラチナの比重は21.4であり、金よりも密度が高く、重いことがわかります。なお、プラチナも純度により比重が異なります。
プラチナの純度 | プラチナの含有量 | 密度/比重(密度:g/立方センチメートル) |
---|---|---|
Pt1000(Pt999) | 99.99~100% | 21.24~21.66% |
Pt950 | 95.0% | 19.84~20.85% |
Pt900 | 90.0% | 18.61~20.08% |
Pt850 | 85.5% | 17.53~19.38% |
Pt800 | 80.0% | 16.56~18.72% |
Pt750 | 75.0% | 15.70~18.10% |
貴金属製品には、「K18」や「Pt950」など刻印されているものもありますが、刻印されていないものの場合は、密度や比重を調べて表と照らし合わせると、純度を予測できます。次の項目で、比重を測る方法を紹介します。
金とプラチナを比較!資産価値はどちらが高い?
実は密度や比重は、自宅でも調べられます。自分で調べるときは、水に金属を沈めて測定する方法を用います。
最初に必要なものを準備します。今回は、金製品の比重を調べてみることと仮定しましょう。
【用意するもの】
・調べたい金製品
・重量計
・適量の水
・水を入れる透明の容器(金属が入るサイズ)
・糸
重量計はキッチンで使用するようなスケールで大丈夫ですが、細かな値を知りたい場合は、小数点以下まで測れるものを用意しましょう。水を入れる容器は何でも良いですが、調べたい金製品を入れたときに、容器の側面や底に金製品が触れない程度の、余裕のある大きさのものを用意してください。また中の様子が見えやすいように、透明のものを選ぶのがおすすめです。糸は、水の中に入れるときに金製品を結ぶために使用します。テグスや釣り糸など、できるだけ細い糸を選ぶと良いでしょう。
必要なものを準備したら、調べたい金製品の重さを測ります。今回は、測定した金製品の重さが150gであると仮定しましょう。測定した重さはメモしておいてください。
続いて、水を入れた容器を重量計に乗せます。水は少し多めに入れておきましょう。水を入れた容器を重量計に乗せたら、目盛りは「0」に設定します。
次に、糸を巻き付けた金製品を吊るして水の中に入れ、体積を測ります。この際に注意してほしいのは、金製品が容器の底や側面に触れないようすることです。金製品が水にしっかりと被るように沈めたら、重量計に表示された数値をメモします。このとき表示された数値が体積です。今回は、体積が10立方センチメートルとしましょう。
金属の重さと体積がわかったら、比重を計算します。比重を調べるには、以下の計算式を使用します。
「比重(密度)=重量÷体積」
計算式に重さと体積をあてはめると、「150÷10」となり、比重(密度)は「15」であることがわかります。求められた数値を、上記の表に当てはめてみると、今回調べた金製品は純度がK18であることが推測できます。
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家庭で金やプラチナなどの金製品の比重や密度を測るときには、いくつかの注意点があります。まず、真珠や珊瑚は水に弱い性質があるため、水に沈めての測定法は向いていません。また、どんな金製品でも正確に測定できるわけではありません。例えば、中が空洞になっているものや宝石が施されているものは、体積を正確に測ることが難しく、正確な比重を出すのは困難です。さらに「タングステン」という、比重や密度が金に近い金属もあり、測定した密度や比重からだけでは金と断定できません。金製品を正確に判別したい場合は、次に紹介する方法もチェックしてみてください。
水を用いて比重や密度を調べるのが難しいときは、以下のような方法もあります。金などの貴金属類を見極める手段として活用してみてください。
まずは刻印の有無、どんな刻印がされているかをチェックしましょう。正規で流通しているものであれば「K24」「K18」「Pt950」など刻印されているため、判別できます。ネットオークションやフリマアプリなど、正規ではない方法で入手したものの場合は、刻印がないものや純度を偽った刻印が施されているものなどがあるため、注意してください。刻印自体に不安がある場合は、ほかの方法を試しましょう。
磁石を使用するのもひとつの方法です。金は磁石に反応しない性質があるため、もしも判別したい金属が磁石に反応した場合、鉄などの金属に金メッキが施されたものである可能性が考えられます。しかし、磁石に反応しないのは金だけではなく、銀なども反応しないため、磁石に反応しないからといって一概には金であると判断できません。磁石を使用する方法は、判断基準のひとつとして用いる程度にしましょう。
金の純度を調べるには、色味で判断する方法もあります。金は、純度が高いほど色が濃くオレンジ色っぽい色をしていますが、純度が下がるにつれて黄色っぽい色味になります。手元に、純度が明らかな金製品がある場合は、見比べてみるのも良いでしょう。また純度がはっきりしている金製品があるなら、価格でも比較できます。純度が同じはずなのに、あまりにも安価な場合は、本物でない可能性も考えられるでしょう。
より正確に調べたい場合は、買取専門店で査定してもらう方法もあります。比重計は市販されていますが高額なため、家庭で用意するのは大変です。専門店であれば比重計が用意されていることがほとんどなので、密度や比重を正確に測定してもらえます。また、査定のみなら無料で行っているところも多いため、気になる方は査定だけでも依頼してみましょう。
金やプラチナなどの査定で高値をつけてもらうためには、下記のようなポイントがあります。まず、金やプラチナが入っていた箱や付属品がある場合は、査定の際に一緒に出しましょう。また、金やプラチナができるだけ傷つかないように保存しておくことも大切です。さらに査定を依頼する際は、自分で金製品の重量を測っておくことも重要です。ホームページで買取実績や手数料などを確認し、信頼できるお店にお願いしましょう。
買取専門店エコリングは、リユース業界での経験値が高い鑑定士が在籍しており、安心して査定を依頼できます。金や貴金属の高価買取実績があるだけでなく、査定に出した金製品がメッキだった場合でも、買取してもらえる可能性があります。状態が悪いものも、独自のメンテナンス技術できれいにできるため、高価買取が望めるでしょう。ほかの買取専門店で買取できなかったり査定額が低かったりした場合でも、一度エコリングにご相談ください。
簡単&正確な金製品の見分け方とは?金メッキ・金張りとの違いも解説
金の価格は、2023年11月時点で約10,500円/g(K24の場合)と過去最高値となりました。世界の政情が不安定であり、先行き不安から今後も高めの傾向が続くことが予測されます。しかし相場は日々変動しており、いつ売却するのが良いのかわからない方も多いでしょう。また、今後急に相場が下落する可能性ももちろん考えられます。手元にある金を売りたいと考えているなら、今が売り時といえるでしょう。
売ることを悩んでいる場合でも、手元にある金製品の現在の価値を知っておくことは、売却時の参考にもなります。自分では判断がつかないものでも、アクセサリーの一部に金やプラチナが使用されていることがあるため、この機会に買取専門店で査定だけでも利用してみると良いでしょう。
手元にある金製品が本物なのか、価値はどの程度なのか気になる場合は、まずはご自宅で比重を測ってみると良いでしょう。より正確な比重値や具体的な価格を知りたいときは、買取専門店で査定してもらうのもひとつの方法です。手元にある金製品の価値が気になる方や使わずに自宅で眠っている金製品がある方は、一度査定だけでも利用してみるのはいかがでしょうか。
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