はるか昔、メソポタミア文明の時代から人々を惹きつけてきた「金」。権力や富を持つ者の象徴とされており、長い年月が経った現代においても、その人気は衰えることを知りません。では一体、金の魅力はどこにあるのでしょうか。ここでは、金の特徴や現在の価格相場についてご説明します。また、金が鉱石・原石のどちらから採取できるのか、さらにその方法についてもわかりやすくまとめていますので、金についてくわしく知りたい方、金の売却を検討している方はぜひご一読ください。
INDEX
「金」と聞いたときに、高級なイメージを持つ方も多いでしょう。では、なぜ価値が高いとされているのか知っていますか。ここではまず、金に関する知識を深めていきましょう。
金の主な特徴5つを、以下にまとめました。
金の大きな特徴が、錆びにくいこと。肌に触れる機会の多いジュエリーは、一般的に酸化して錆びやすい状況にあります。しかし、金は酸化しにくい性質を持つため、普段身に着けていても錆びることはほとんどありません。
ただし、金でできていても、ものによっては変色する可能性があります。それは、純金でない場合です。純金であれば錆びることはありませんが、ほかの金属も混じった合金が使われている場合は変色します。
酸に溶けないことも、金の特徴です。金属のなかでもアルミニウム・鉄・鉛などは、塩酸や希硫酸と反応し溶けてしまいます。また、銅・銀も、硝酸や熱濃硫酸により溶ける性質があります。これらの酸にもまったく溶けないのが、金やプラチナです。金やプラチナは、王水(濃硝酸と濃塩酸を体積比1:3で混ぜた強い酸性の液体)のみにしか反応しません。
金は、展性・延性に富む金属です。展性とは圧縮したときに伸びる性質、延性とは引っ張ったときに伸びる性質のことをいいます。展性を利用し加工されたものの代表例が金箔、延性を利用したもの代表例が針金です。金は、たった1gで3,000mの長さに伸ばせるほど展性に優れています。金が古くから重宝されてきたのには、加工しやすい点も大きく関係しているといえるでしょう。
金は、ほかの金属と比べて比重が大きいことでも知られています。銀の比重が10.49g/㎤であるのに対して、金は19.32g/㎤。同じ大きさでも、金は銀の約2倍の重さとなります。
金属のジュエリーで、かゆみや発疹などのアレルギー症状が出たことがある方もいるでしょう。なかでもリスクが高いのが、コバルト・クロム・ニッケルなどです。一方で、金はアレルギーのリスクが低い金属です。ただし合金、あるいは下地にニッケルなどが使われている金メッキのアクセサリーは、アレルギーを発症する可能性もあるので注意しましょう。
近年では、資産として金を購入するケースも少なくありません。金に価値があるとされる理由を4つご紹介します。
展性・延性に優れていて加工しやすい金は、さまざまな場面で活用されています。なかでも最も需要が高いのが、指輪やネックレスをはじめとする宝飾品です。多くの場合、純金にほかの金属を入れて強度を高めた合金が使われています。
また、金は熱・電気の伝導率も高いことから、電子機器にも活用され広く販売されています。先ほど触れた金箔も、身近な金の活用方法です。金箔は和食やお菓子などの装飾のほか、陶器などの工芸品にも使われています。あまり知られていないかもしれませんが、万年筆や治療薬として使われるなど、多くの業界で活躍しているのです。
世界的に信用を得ている金属であることも、金の価値が高い理由の一つです。古代エジプトの時代において、金はツタンカーメンのマスクに使われていました。また、中世ヨーロッパでは、聖杯や王冠などに用いられていたこともわかっています。このように、古代から王の装飾品などに使われ多くの人を魅了してきた実績が、世界的な評価につながっているのです。
金には、ほかの金属より希少性が高いという特徴も。これまでに発掘されてきた金総量は、約170,000トンとされています。北米・南アフリカ・オーストラリアの金鉱山会社が設立した非営利団体WGO(World Gold Counsil)の調査によると、地球上に残る金は約70,000トン。つまり、これまでに採掘された金の半分も残されていないのです。ちなみに、これには採掘困難な金も含まれているため、実際に入手できるのはさらに少ないでしょう。現在、金は年間2,500トン前後採掘されているため、いつかは枯渇してしまうといわれています。
投資商品として優れていることも、金の価値が高い理由といえます。金は安全資産といわれており、価値が下がってもゼロになることはありません。
冷戦期に生まれた「有事の金」という言葉を聞いたことがありますか。株価暴落を恐れて、資産を金に替える動きが加速したことで生まれた言葉です。その結果、戦争や大規模災害などの際に、価値がゼロにならない金に投資する方が増えたといわれています。金は、株式や債券などと比べて安心して購入できるだけでなく、いつでも現金やほかの資産に替えやすい、つまり手放しやすいことも魅力です。
同じ「金のジュエリー」でも、内部まで金でできたものと、金以外の金属にメッキ加工を施したものがあります。両者を見分けるときに注目したいのが、刻印・色味・重さ・磁石への反応です。
金のジュエリーには一般的に、金の純度を表す「K+数字」の刻印があります。24を100%とする24分率で表されており「K24」なら100%の純金、「K18」なら75%の純金が含まれています。次に色味です。純金はオレンジ色に近いような深みのある黄色ですが、金メッキはてかりのある黄色です。ほかには、重さによって見分けられる場合もあります。先ほどご説明したように、金は比重の大きい金属です。手に持った際、体積のわりに重い場合は本物の金である可能性が高いでしょう。4つ目は、磁石を使って調べる方法です。純金は磁石に反応しないため、反応するのであれば金メッキの可能性が高いでしょう。ただし、金メッキであっても、下地に銀・錫(すず)が使われている場合は磁石に反応しません。ほかの方法と組み合わせてチェックすると良いでしょう。
金の価値が高いのはなぜ?純度による分類や人気の投資方法も紹介
「自然金」という言葉を初めて耳にする方も多いでしょう。ジュエリーやインゴットなどは、不純物を取り除き、純度を調整して整形したもの。自然金とは、自然界に存在するそのままの形の金を指します。そんな自然金の魅力や採取方法を見ていきましょう。
自然金の魅力は、個性あふれる形と美しさにあります。自然に形づくられたものなので、サイズはもちろん、厚みがあったり平面になっていたりと個性豊かです。現在、採掘された金のほとんどはそのまま精製されてしまいます。そのため、自然金として存在しているものは、希少性の高い金のなかでもさらに珍しいといえます。
宝石や貴金属の採取・加工にはいろいろな方法があり、ダイヤモンドやルビーなどは原石となる天然石を加工しますが、金は金の成分を含んだ鉱石を加工することで採取可能です。ここからは、金の主な採取方法についてくわしくご説明していきます。
金の採取方法として一般的なのが、鉱脈にある山金からの採取です。鉱脈とは、火山活動により上昇してきたマグマに触れることで、地下水などに含まれる金属が融解し冷え固まったもの。鉱脈のメカニズムはほかにもありますが、このようにしてできた鉱脈から産出する自然金を山金といいます。
山金からの採取では、鉱脈を爆破して手に入れた金が含まれる鉱石を、細かく粉砕します。過去にはハンマーで砕いたあと、さらに臼で砕いていた時代もありましたが、現在は粉砕機を使う方法が一般的です。
次に、砕いた鉱石を特殊な薬液につけて、金を溶かします。そして、金が溶けた液体に還元剤を入れて金を固め、専用機器でろ過して取り出します。なお、鉱脈からの金の採取は、特殊な資格が必要です。
川底にある砂金からも、金の採取が可能です。砂金は、浸食され砂粒となった鉱脈の金が、川を流れて川底・海岸などに堆積したもの。砂金採り体験ができる観光地もあるため、興味がある方は体験してみると良いでしょう。砂金のデメリットは、採取できる金の量が少ないこと。そのため、商業的に金を採取したい場合、この方法は向きません。
金を売れる状態にするには、純度を高める作業が必要です。前述のように金を固めて取り出したあと、同じ工程を再度行って不純物を取り除きます。そして、精製した金を高い温度で溶かして粒状にし、それを高温で熱してインゴットなどの型に入れます。
アメリカ最大の地球科学調査情報機関であるUSGSの「Mineral commodity summaries 2023」を参考に、2022年に金が多く産出された10カ国を以下の表にまとめました。
順位 | 国名 | 金の産出量 |
---|---|---|
1位 | 中国 | 330トン |
2位 | オーストラリア・ロシア | 320トン |
4位 | カナダ | 220トン |
5位 | アメリカ | 170トン |
6位 | カザフスタン・メキシコ | 120トン |
8位 | 南アフリカ | 110トン |
9位 | ペルー・ウズベキスタン | 100トン |
中国は、内モンゴル自治区・湖南省・山東省・福建省などの地域で金の採掘が行われています。近年注目を集めているのが、キルギスとの国境付近にある薩瓦亜尓頓金鉱。1993年に発見された金鉱脈ですが、2014年には「127トンもの埋蔵量がある」というデータが発表されています。
「金=南アフリカ」というイメージがある方は、ランキングを見て意外だと感じたかもしれません。1970年代、南アフリカの金産出量は年間1,000トンにも及び、世界全体の約7割を占めていました。しかし、南アフリカでこれほど多くの金を採掘していたのは、人種差別により強制労働を強いられた非白人だったのです。そのため、1990年代のアパルトヘイト政策撤廃後、南アフリカの金産出量は減少し、2022年ではランキング8位となっています。
ちなみに日本も、かつては「黄金の国ジパング」と呼ばれるほど多くの金が採掘されていた時代がありました。しかし金をほとんど採掘しつくしてしまい、現在商業用鉱山として稼働しているのは鹿児島県にある菱刈鉱山のみとなっています。
金の価格は近年高騰し続けており、買取相場は1g当たり10,558円(2024年1月22日時点)となっています。価格高騰の要因が、アメリカの大手銀行の経営破綻やウクライナ有事などによる経済不安です。現金の信用が低下し、実物資産である金を求める動きが加速したことで、価値が上がったと考えられます。
ただし、金価格はいつまでも上がり続けるわけではありません。いくら金の希少性が高いといえども、経済不安が解消されれば価格が下落する可能性もあります。そのため、いつ金を手放すか迷っている場合は、高く売却できる今がおすすめです。査定額アップのために汚れを落としてできるだけ綺麗な状態にし、付属品をそろえておきましょう。
金を売る時の注意点は6つ!税金や買取専門店の選び方なども徹底解説
ご説明してきたように、金の原石やジュエリーには多くの魅力があります。金を高く売却したい場合は、価格が高騰している今がチャンスといえるでしょう。
エコリングは、全国に230以上の店舗を持つ買取専門店です。「金のジュエリーなんて持っていない」と思っていても、金が使われている場合があります。また、エコリングはメッキの買取も行っています。まずは、査定だけでもお気軽にご依頼ください。
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